『SHIVERプレミアム2025』出演
吉田早織さんインタビュー
初登場の吉田早織「スタジオという舞台で新たな一面を」
インタビュー:バレエライター・齊藤希史子(Kishiko Saito)
世界的なダンサーの至芸を至近距離で体感できる「SHIVERプレミアム」。
小池ミモザや二山治雄といった常連組に加えて、この夏は吉田早織が初登場する。国内の主要3団体でキャリアを積み、現在はフリーの立場で引く手あまたのバレリーナだ。
スタジオでのショーイングという新たな形式に、どんな意気込みで臨もうとしているのか。
ファッション業界でも活躍中という多忙なスケジュールの合間を縫って、メールインタビューに応じてくれた。
<SHIVER初登場を巡って>
今回が初登場です。オファーを受けた時のお気持ちと、出演を決めた理由は?
オファーをいただいた時は、「海外で活躍した経験のある方ばかりの中、私で大丈夫かな」という不安はありました。ですが、ダンサーもお客様の層も今まで踊ってきた環境とは異なると思いますし、自分の幅を広げるにもよい機会だなと思い、引き受けさせていただききました。今では出演される皆さんにお会いできるのがとても楽しみです。
<劇場公演とは異なるショーイングという形式>
観客としては、ふだん劇場でオーケストラピット越しに仰ぎ見ているダンサーの演技を、その息遣いまでも間近で目撃できるのがSHIVERの魅力です。出演者にすれば、稽古場で観客に囲まれるようなものですが、どんな感覚でしょう?
おそらく観に来て下さるお客様は、劇場での公演では感じられないその臨場感も楽しみにされていると思います。
スタジオパフォーマンスの経験は今までにもありますが、表情や繊細な動きを、より丁寧に踊ることを心掛けています。私が低身長ということもあり、舞台では「とにかく大きく! 遠くのお客様にも伝える」ということを課題にしていますが、また違った魅せ方の工夫も必要です。本番はお客様との一体感、空気感を楽しみながら、自分の新たな一面もお見せできたらと思います。
<クラスの公開>
バリエーションやパ・ド・ドゥだけではなく、バーやフロアなど稽古場でのレッスン風景を垣間見られるのも、観客には興味深い点です。クラスという本番に向けた準備の時間を公開することに対し、ダンサーとしての率直な思いをお聞かせ下さい。
クラスは私にとって自分と向き合う大切な時間です。人に見せるために敢えて何かを変えるものではないと思っていますので、パフォーマンスというよりは私のリアルな姿をお見せできたらいいなと思っております。
<フリーダンサーにとってのクラスと本番>
団体に所属するダンサーにとって、クラスから本番に至る一連は義務であり、権利でもありますが、フリーの立場ですと、全てを自身で管理しなければなりません。日々のクラスをどのように続け、どんな思いで本番に向かっているのでしょうか。
確かに、自分次第なところはとても多く、強い意志が無ければ難しい立場であると思っております。ですが、義務ではない分自分の意志で動くことが基本となる生活なので、私にとっては毎日が充実感に満ちていて、フリーランスが合っているなと感じます。
ただ、教えを毎日やり、アパレルブランドの経営もしながら踊っているので、タイムマネジメント的な意味で言うと、大変なことは多いですね。あとは健康管理には、より気をつかうようになりました。
<キャリアについて>
吉田さんは、新国立劇場バレエ団、東京バレエ団、Kバレエトウキョウという国内主要3団体に所属の後、若くしてフリーに転身という、唯一無二の経歴をおもちです。SHIVERにはさまざまなダンサーが集いますが、そのお立場だからこそ見せられるものは何でしょうか。また、現在の活動の支えとなっているものは?
国内主要の三つのカンパニーにいたことで、色々なカラーの踊りを学び、作品に触れ、たくさんのダンサーと関わらせていただいたことは私にとって財産です。
ちょうど2年前の今ごろですね。怪我も多く、自分の中では才能の限界を感じ、これ以上のダンサーにはもうなれないだろうと、やり切った気持ちで退団しました。しかしダンサーを辞めようと決意した頃、ありがたいことに次々と公演のオファーをいただき、それが全幕の主演など私の実力以上のお仕事だった。まだまだ私にも叶えられることがあるのかと、ダンサーとしての新たな喜びを見出したあの瞬間は、今でも鮮明に覚えています。
自分を必要とし、可能性を信じてくれた方々のおかげで今こうしてまだ踊れているということです。心から感謝の気持ちでいっぱいです。
<観客へのメッセージ>
SHIVERという特別な空間だからこそ、意識していることはありますか。本番を楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします。
クラスレッスンもあるということで、等身大の私を観ていただける、あまり無い機会かと思います。お客様と一体になる感覚が今からとても楽しみです。
<バレエについて>
最後の質問です。バレエを通じて伝えたいことは何ですか。
私にとってバレエとは、人の心を癒やせる一番の手段だと思っています。まだまだ続いてほしい、終わってほしくない夢のような時間。非現実。または寄り添い。ダンサーとして、そんなお客様の日常に少しでも癒やしの時間、共感、安らぎを与えられたらそれ以上の喜びはありません。
厳しい現代を生き抜くためには、やはりバレエという芸術は必要だと心から思います。
誠実に紡がれた言葉から、真摯な姿勢と温かな人柄が伝わってくる。そして文章に脈打つ心地よいリズム感は、吉田の踊りにも共通するものだ。
SHIVERプロデューサーの吉田智大がバレエに魅せられたのは欧州での駐在員時代であったことから、出演者も海外に拠点を置くダンサーが多い中、国内で実力を磨いた吉田早織の加入は、新鮮な風を吹き込むに違いない。
万難を排して立ち会いたい、2日間4公演である。
【公演情報】
2025年7月26日(土) <昼公演>14:30/<夜公演>18:30
2025年7月27日(日) <昼公演>14:30/<夜公演>18:30
“超”至近距離で観る、ワールドクラスのバレエパフォーマンス
会場:The Hall Yokohama
チケット好評発売中
残席残りわずかとなります。
SHIVERプレミアムホームページ
プロデューサー:吉田智大
2025年8月2日(土) <Aプロ>16:00
2025年8月3日(日) <Bプロ>14:00
横浜で10年続いた人気公演が、日本バレエ発祥の地 “鎌倉” 開催に
チケット好評発売中
芸術監督:遠藤康行
プロデューサー:吉田智大