2020年夏、新たなバレエ鑑賞体験「SHIVER」を横浜・長野・京都で開催!
文:高橋森彦
2020年夏、新たな感覚のバレエ鑑賞スタイルとして注目される「SHIVER」が本格始動する。昨年(2019年)4月にフランス・パリで始まり、同年8月、東京・新宿村スタジオにて一夜のみ50人限定で披露され評判を呼んだ催しのことだ。
「SHIVER」とは英語で“震える”という意味で、謳い文句は”ワールドクラスのバレエダンサー・アーティストを至近距離で見られる全席SS席のパフォーマンス”。限られた人数の観客が一流ダンサーたちをすぐ近くから囲むようにして鑑賞する。
まず数人のダンサーが教師役と生徒役に分かれて行うクラスの模様をじっくりと。一流のダンサーであればあるほど、基本のポジション・動作からして精確で、美しく、絵になるものだ。そしてソロを中心に古典バレエのパ・ド・ドゥの抜粋やデュオ作品を披露(プログラムは会場や回によって変わる)。通常の劇場公演とは違うので、衣裳・照明などは簡素だが、ダンサーたちの表情や息づかいを肌で感じられるのが大きな魅力である。
「SHIVER」を立ち上げたのは「横浜バレエフェスティバル」プロデューサーの吉田智大。2015年に始まった「横浜バレエフェスティバル」は国内外で活躍するトップダンサーが踊る多彩な演目を味わえる(本年度は新型コロナウイルスの影響により来年に延期)。その創意工夫を凝らしたプログラムとお祭り感も得難いが、「SHIVER」では一級のダンサーが身にまとう個性やエネルギーがダイレクトに伝わってくるので格別だ。
今年は横浜(The Hall Yokohama)、長野(佐藤健作戸隠稽古場)、京都(ロームシアター京都・ノースホール)という3都市3会場で10回開催予定。出演者は会場・日程により異なるので注意してほしいが、一騎当千のスター・気鋭の若手ばかりである。
昨年の「SHIVER」でも大活躍した二山治雄、このほど芸術選奨文部科学大臣賞&橘秋子賞優秀賞に輝いた米沢唯、ダイナミックに魅せる女神である小池ミモザ、今春のパリ・オペラ座バレエ団日本公演にも出演し注目された東真帆、驚異的なまでにしなやかに踊る髙瀬譜希子、ダンサーとの共演も数多い和太鼓奏者の佐藤健作 、演技巧者でもある実力派の木下嘉人、「横浜バレエフェスティバル」には欠かせない異才として名をはせる柳本雅寛、欧州の香りをただよわせながら独自の創作を続けるエドワール・ユ&津川友利江と豪華だ。
なお7月31日の回(旧名称:横浜バレエフェスティバル2020前夜祭・完売)には次世代を担うジュニアにより構成されるジュンヌバレエYOKOHAMAが出演し、「横浜バレエフェスティバル」芸術監督の遠藤康行もその進行・指導で登場する。
今年はオープニングやデフィレ、それに何やら「お楽しみ」も用意しているとか。横浜では柳本と二山がコンビを組む異色の演目を仕込んでいるというから気になる。長野、京都では和太鼓の佐藤と髙瀬のコラボレーションが見ものであるし、京都では今を時めくプリマバレリーナの米沢が木下と共にデュオを踊る予定。どの回も見どころが詰まっている。
一流のダンサーたちが生身で表現するエネルギーを存分に浴びつつ、彼らを近い存在として感じられるレアな機会。まさに心震えるような一期一会の体験となるに違いない。