バレエの多種多様な感動を体感できる横浜バレエフェスティバル、2年ぶりに開催へ
文:高橋森彦
横浜バレエフェスティバルが2年ぶりに還ってくる。昨年(2020年)はコロナ禍のため残念ながら中止となったが、今夏は2021年8月1日(日)神奈川県民ホールにて行われる。
横浜バレエフェスティバルが始まったのは2015年。芸術監督の遠藤康行(元フランス国立マルセイユ・バレエ団ソリスト/振付家)とプロデューサーの吉田智大は,「美・激・愛・動・静・寂」など「バレエの様々な ”パワー”」を存分に味わえる公演を生み出した。
コンセプトは2つ(公式ホームページより)。
【1】若いダンサーと円熟したダンサーという、年齢や経験からくる表現の幅や厚みの違い
【2】「クラシックバレエの定番からなかなか見られないコンテンポラリーダンスまで」「古典から新作まで」などの、演目のバラエティー。
この2つの軸を1公演に盛り込んでしまおうというものです。
【1】は最大の特徴で、1つの公演の中に2つのプログラムを用意。フレッシャーズガラでは、出演者オーディションにより選抜された逸材やジュニアの俊英ダンサーが集うジュンヌバレエYOKOHAMAが、まさにフレッシュな踊りを披露する。いっぽうワールドプレミアムでは、国内外で活躍中のトップダンサーが成熟した表現力を発揮する。
【2】に関しては毎年話題作が目白押し。巨匠マッツ・エックの『眠れる森の美女』、『ジュリエットとロミオ』の日本初演(ともに抜粋。前者が2015年、後者が2017年)や鬼才シディ・ラルビ・シェルカウイ新作世界初演『Mononoke』(2017年)を実現したのは快挙だった。
多士済々のダンサーたちと幅のある演目。遠藤はそれを生かし、オープニングからフィナーレまで趣向を凝らした構成で観客に届ける。そうすることによって、国内外のバレエの今を知ることができると共に「バレエの様々な ”パワー”」を体感できるのだ。
横浜バレエフェスティバル2021にも期待が高まる。
見どころは多いが、菅井円加(ハンブルク・バレエ団プリンシパル)と二山治雄(パリ・オペラ座バレエ団契約団員)による『パリの炎』よりグラン・パ・ド・ドゥは、横浜バレエフェスならでは。菅井は2016年から3回、二山は2015年の初回から全5回出演している。ローザンヌ国際バレエコンクール第1位に輝いた両者が、プロフェッショナルなダンサーとして輝き、今まさに飛躍していく姿を追い続ける喜びは格別である。
フレッシュということでいえば、『海賊』よりパ・ド・トロワにも注目したい。前田紗江(英国ロイヤル・バレエ団アーティスト)、五十嵐大地(英国ロイヤル・バレエ団)、松浦祐磨(YAGP 2018第1位)という売り出し中の新進気鋭が踊るのを見逃したくない。
小池ミモザ(モナコ公国モンテカルロ・バレエ団プリンシパル)が踊る自作自演の新作『6 day solo』、高瀬譜希子(元カンパニー・ウェイン・マクレガー)と遠藤の共作共演(タイトル未定)という実力者の創作を味わえるのも横浜バレエフェスティバルの魅力である。
津川友利江(元バレエ・プレルジョカージュ)は、エドワール・ユ(BEAVER DAM COMPANY(仏)代表)と共に踊るコンテンポラリー作品(題名未定、振付:エドワール・ユ)のほか、柳本雅寛(振付家・ダンサー、+81主宰)と組む新作(題名未定)も予定されており大活躍するだろう。
古典バレエでは、飯島望未と秋元康臣 (東京バレエ団プリンシパル)による『ジゼル』第2幕よりパ・ド・ドゥに期待が高まる。ファッショニスタとしても名高い飯島と、ノーブルな踊りが渋い秋元の化学反応が楽しみだ。
井関エレナ(ベルリン国立バレエ団)の『ドン・キホーテ』よりキトリのヴァリエーション、オステアー紗良(ベルリン国立バレエ団デミソリスト)『I won’t stand still』(振付:アーシャック・ギャルマン)にも注目したい。
フレッシャーズガラでは、山下栞、宮さくら、田中美帆がヴァリエーションを披露。ジュンヌバレエYOKOHAMAによる『悪魔のトリル』(振付:遠藤康行)も上演される。
今年も夏の休日の午後、バレエの多種多様な感動を心ゆくまで体感したい。
※出演ダンサー・演目は2021年6月2日現在の予定です。
※演目順は未定です。
★公演情報★
★第2部・第3部 ワールドプレミアム
・「ドン・キホーテ」よりキトリのヴァリエーション
井関エレナ (ベルリン国立バレエ団)
・「I won’t stand still」 振付:アーシャック・ギャルマン
オステアー紗良 (ベルリン国立バレエ団 デミソリスト)
・「エスメラルダ」より男性ヴァリエーション
二山治雄 (パリ・オペラ座バレエ団契約団員)
・タイトル未定 コンテンポラリー作品
津川友利江 (元バレエ・プレルジョカージュ)
柳本雅寛 (振付家・ダンサー・+81主宰)
・「ジゼル」第2幕よりパ・ド・ドゥ
飯島望未 (元ヒューストン・バレエ団プリンシパル)
秋元康臣 (東京バレエ団プリンシパル)
・タイトル未定 コンテンポラリー作品 振付・演出:高瀬譜希子 遠藤康行
高瀬譜希子 (元カンパニー・ウェイン・マクレガー)
遠藤康行 (元フランス国立マルセイユ・バレエ団ソリスト・振付家)
・「海賊」第1幕よりパ・ド・トロワ
前田紗江 (英国ロイヤル・バレエ団アーティスト)
五十嵐大地 (英国ロイヤル・バレエ団)
松浦祐磨 (YAGP2018/第1位)
・「6day solo」*新作 振付:小池ミモザ
小池ミモザ (モナコ公国モンテカルロ・バレエ団プリンシパル)
・タイトル未定 コンテンポラリー作品 振付:エドワール・ユ
津川友利江 (元バレエ・プレルジョカージュ)
エドワール・ユ (BEAVER DAM COMPANY(仏)代表)
・「パリの炎」よりグラン・パ・ド・ドゥ
菅井円加 (ハンブルク・バレエ団プリンシパル)
二山治雄 (パリ・オペラ座バレエ団契約団員)
★第1部 フレッシャーズガラ
・「くるみ割り人形」第2幕より金平糖の精のヴァリエーション
山下栞
2021年出演者オーディション優勝/神奈川県民ホール賞(所属:シンフォニーバレエスタジオ)
・「アレルキナーダ」のヴァリエーション
宮さくら
2021年出演者オーディション第2位(所属:梨木バレエスタジオ)
・タイトル未定 クラシックヴァリエーション
田中美帆
第6回YBC横浜バレエコンクールグランプリ受賞(所属:東京シティバレエ団)
・「悪魔のトリル」 振付:遠藤康行
ジュンヌバレエYOKOHAMA
遠藤ゆま 國立桃菜フローラ 桑山奈那子 小林咲穂 三宮結 高尾志結 竹内渚夏
田中優歩 橋本杏梨 羽田万凜花 水戸野彩花 山下沙羅 山本真優 (50音順)
※演目は変更になる場合がございます。
チケットはこちら(横浜バレエフェスティバルチケットセンター)から
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